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風の音づれ Vol.3 たからものの時間

天地のひかりしづかに梅咲きぬ」(桂信子)

時はまさに「光の春」。気象学者・倉嶋厚さんは、吹く風はまだ冷たさを残しながらも差し込む光は日毎にその強さを増すこの季節を、シベリアの言葉を引用してそう名付けました。

次々に咲きこぼれる梅の花が呼び込む、まばゆいほどの光の束は、もう次の季節への前奏曲を奏で始めています。

大人になってから、10代の頃の自分を振り返るとき、日常の授業や学校行事の思い出とともに、なぜか決まって学校からの帰り道の出来事が心をよぎりませんか?

家族も教員もそこにはいない、自分たちだけの時間。小学生であれば、わくわくしながら週末の約束を交わしたり、なかなか言えなかった「ごめんね」を言えたりしたこと、中学生・高校生であれば、意外な友だちの言葉が自分の本当の気持ちに気づくヒントになったり、時には独りでじっと足元だけを見つめながら、震えるような後悔を携えて歩いたりしたこともあったかも知れません。子どもから青年へと成長する大切な場面が、学校帰りの道にはいくつも連なっていたのです。

来年4月から、おそらくたくさんの開智所沢生が歩くことになるであろう、JR武蔵野線の東所沢駅から学校までの通学路を紹介しましょう。

東所沢駅は、本棚をイメージした斬新なデザインです。改札を出て右手、ロータリーを横に見ながら歩き出す道が、実はまっすぐ学校まで通じています。

6分ほど歩くと、『しまむら』の交差点にさしかかります。ここから左を眺めれば、東所沢公園の木立を透かして、『ところざわサクラタウン』の大きな建物が顔をのぞかせています。


東所沢公園の雑木林は四季折々、武蔵野の名にふさわしい、懐かしい風景をつくり出すことでしょう。クラスやホームのみんなで、季節を見つけに出かけることも、あるいはあるかも知れませんね。

交差点を直進してしばらく歩くと、東川にかかる新日比田橋にさしかかります。橋の両側には桜並木が続いています。花吹雪の中をあるく新入生の姿が目に浮かびます。毎年、桜の時期だけは通学時間が少しだけ余計にかかることでしょう。


新日比田橋から学校までは緩やかな坂道となります。ここから風景は少し趣を変え、吹く風は畑の土の匂いを運んで来ます。

東所沢駅から学校まで、大人の足で11分弱かかります。開智所沢の子どもたち・若者たちにとってその11分間は、たからもののような時間となるに違いありません。

(片岡)


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