風の音づれ Vol.123 5年生 ~10歳が考える所沢市の未来~
5年生の「探究」の授業では、所沢市のまちづくりについて学習を進めました。所沢市が西武鉄道の発展と共に成長してきたことや、昔から伝わる大切な歴史があることなど、様々な視点からその魅力に迫りました。市の「空間の広がり」と「歴史の流れ」を理解した上で、「今後、所沢市がさらに発展するために、どのようなまちづくりができるのか」というテーマで、その可能性を探ってきました。
今回は、その学習の集大成として、所沢市経営企画部企画課と街づくり計画部都市計画課の4名のゲストティーチャーをお招きし、子どもたちが練り上げてきた提案を発表しました。具体的には「航空」「鉄道」「道路」の3つの視点からまちづくり案を考えました。
提案されたまちづくり案の一部をご紹介!
「航空」 の提案では、航空発祥の地である所沢に埼玉県初の空港をつくるという案が出ました。所沢航空記念公園に滑走路を作るという具体的なアイデアです。もちろん、調査を進める中で、建設費用や、公園内にある未返還の米軍通信施設用地の扱い、住民への騒音問題といった課題に直面しました。その代替案として、狭山湖に滑走路を設ける案も検討されました。これにより、西武ライオンズの応援にも気軽に訪れることができるのではないか、という発想です。しかし、ナショナルトラスト運動で守られたトトロの森なども近くにあり、環境への影響も考えられるため、子どもたちはああでもないこうでもないと、様々な可能性を検討しました。大人でも難しい課題でしたが、子どもたちなりに一生懸命に考えていたのが印象的でした。


「鉄道」 の提案では、都営大江戸線を東所沢まで延伸させるという案が発表されました。Googleマップで確認すると、たしかに鉄道の駅がない地域があり、その必要性を強く感じたようです。ハリー・ポッターと出会える「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に行きやすくなることや、東所沢に住む人々が都心へ出やすくなるだけでなく、逆に東所沢の魅力をさらに発信することで経済効果も期待できるのではないか、と子どもたちは考えを巡らせました。もちろん、ここでも建設費用や住民の理解、環境の問題といった課題が挙がりました。

「道路」 の提案では、国道463号と所沢インターチェンジの交通の流れを円滑にすることで、交通渋滞の緩和や物流の効率化が期待できるのではないかという案が出ました。実際に学校の隣の道路の交通状況を調査するなど、体験的に学習を進めました。長年の渋滞問題を解消することで、生活しやすいまちづくりを目指したいという強い思いが込められていました。ここでも、建設費用や騒音などの課題が出てきましたが、そのデメリットに対して解決方法を子供たちなりに考えていたのが印象的でした。

どの発表も、子どもたちの所沢市への深い理解と、未来に向けた熱い想いが伝わる内容でした。私立学校なので、所沢市以外の地域から来る子も多くいます。しかし、所沢市の土地の利用や歴史に触れ、実際にゲストティーチャーの所沢市経営企画部企画課と街づくり計画部都市計画課の方々の本物の想いや願いにも触れたことで、地域に貢献する学びの意義に気付くことができました。所沢市役所の方々からは大変嬉しいお褒めの言葉をいただきました。
「どの子も筋の通った提案で、具体的なプランを考えているのが素晴らしいですね。市内の高校生からも同じような提案を聞く機会も多いのですが、高校生にも負けないような提案でびっくりしました。」
このようなお言葉をいただき、具体的な提案として高く評価されたことは、今後の活動への大きな励みとなりました。提案を終えた子も「今までは学校内で発表をしていたけど、専門の大人の方に発表したので緊張した。また、提案の内容も大人向けにしないといけなかったので、大変だった。でも、所沢のことや所沢で働いている人の気持ちが分かった。」と振り返りました。
今回のように、学校の中だけでなく、今後も社会に開かれた学習を取り入れることで、自分たちの学びに意味があることを実感してほしいと思います。
