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Croquis No.27 ~春の鼓動が聞こえてきます~

 校門を出て、坂道をゆるゆると下っていくと、金木犀の大木に隠れるようにして立っている、二本の梅の木が目にとまります。立春を待ちかねていたのでしょう、枝先から小さな春が次々にこぼれ咲いています。

 「梅は百花の魁」確かにキャンパス周辺で最初に開花した花は、去年も今年もこの梅の花でした。この木に咲く梅の花はなんだか小ぶりで、少し地味な印象を受けるかも知れませんが、それでも満開となれば、なんとも賑やかに、また晴れやかに春の歓びを歌います。昨年3月2日に撮影した一枚を添えておきましょう。小学校の子どもたちの様子に重なるようで、私はこの梅の開花を楽しみにしています。

 気象学者の倉嶋厚さんが、『お天気歳時記』という本のなかに、こんな言葉を遺しています。「二月の光は誰の目から見てももう確実に強まっており、風は冷たくても晴れた日にはキラキラと光る。厳寒のシベリアでも軒の氷柱から最初の水滴の一雫が輝きながら落ちる。ロシア語でいう『光の春』である。」―立春を過ぎてのち、誰の目から見ても疑いようのない春がやってくるまでのおよそ一カ月を表現する言葉が“光の春”。移ろいゆく季節を縫いとめる言葉として、これほど清爽で気高いものは他にないでしょう。


 グラウンドから差し込む、あふれるような光を受けて、乾燥中だった2年生の図工の作品群が不思議な小世界をつくり出していました。食品のプラスチック容器を利用して、お面や帽子など頭にかぶれるものを作ろうというテーマですが、こうしてみると大きな火山島のようにも見えてきます。さらに目を凝らすと、カルボナード火山島にひとり残ったグスコーブドリの姿が、小さく見えてくるような気がしました。

 開校から2年、学校にはさまざまな変化が見られます。確かに言えることは、開校したてのころはやや無機質な印象を受けた廊下の風景が、最近はずいぶんと色彩豊かになってきたということです。それはもちろん、直接的には図工やArtの作品の色彩によるものでしょうが、それだけでなく、教室からもれてくる歌声や笑い声、そして子どもたちの動きによって生まれる空気の流れまでもが加わって、色だけでは語れない色彩感といったものが生まれているのでしょう。6年生の毛筆作品にも、個性と言う色彩があふれています。

 昨年3月、このブログ(No.14)で、東川沿いに立つ河津桜のことを書きました。関東各地の河津桜の名所から届く花だよりと比べて、少し開花が遅れていたようですが、2月13日の朝、今年の最初の一輪が綻びました。春の鼓動が、確かに聞こえた気がしました。

それからは日を追うごとに開花が進み、今ではもう花の数を数えることができなくなっています。5・6年生が学びの成果を発表するpre-Exhibitionが開催(2月28日)される頃には、きっと見頃を迎えていることでしょう。

開智所沢小学校 片岡哲郎