新着情報 開智所沢小学校 > ブログ > Croquis No.20 ~装いも新たに 新着情報 新着一覧 在校生の様子 お知らせ イベント 入試情報 ブログ Croquis No.20 ~装いも新たに 2025.09.02 二学期始業式の朝、夏休み前から通学路をまぶしく彩っていた百日紅の花が、一ヶ月半ぶりに登校する子どもたちを迎えます。規格外れの猛暑に夏の暦がまるごと塗りつぶされたからでしょうか、百日紅の花もさすがに少し色褪せてきたように感じられます。 暑さばかりが話題に上りますが、草叢からはもう虫の音の重奏が聞こえ、気がつけばたくさんのトンボたちが子どもたちを追うように校門をくぐって来ます。「いつまでも散るのがへたな百日紅」俳人・鎌倉佐弓さんは、時の流れに取り残される百日紅の哀しみをそう表現しました。百日紅はその花期の長さ故に、数えきれない夏の空蝉たちの姿を見つめる定めにあるのです。 通学路で見つけた花をもう一つ。こちらはツユクサの花です。 ツユクサは、梅雨時から咲き始める夏の花ですが、朝に花弁を開いてお昼までにはしぼんでしまうはかない風情からか、秋の季語とされています。花の汁を衣にこすりつけて染めたことから、古くは着草(月草)と呼ばれ、万葉集にも9首ほど詠まれています。もっとも、ツユクサで衣を染めてもすぐに褪色するので、万葉人にとってツユクサは、移ろいやすく、はかないものの象徴でした。 「月草のうつろいやすく思へかも我が思ふ人の言も告げ来ぬ (大伴坂上家之大嬢 巻四583)」大伴坂上大嬢は、万葉集を代表する歌人の一人である坂上郎女の娘で、大伴家持とは従妹にあたります。若いころに家持と歌の贈答をし、一時離絶するも、のちに正妻になった女性です。「私のことを月草のように移ろいやすいと思っているのでしょうか、私が思う人(家持)が何とも言って寄こさないのは…」まだ若かった大嬢の、少し拗ねたような直球勝負の訴えですね。 新学期の校舎内は明るさに満ちています。学校の昇降口に貼り出されたEnglish Wallは、夏休みの思い出をかみしめつつ、これからはじまる二学期の生活に思いを馳せる、そんな素敵なデザインです。 右側の広いスペースは、児童や教員がこの夏のあいだに行ったところ、いっしょに遊んだ人、食べたものなどを自由に紹介するためのものです。さっそく、「中国行った」とか「ウィーナー・シュニッツェルを食べた」といった、ちょっとうらやましい報告が並び始めていました。各ホームで、あるいは各クラスでも、思い出話に花が咲いていることでしょう。どんなに時代が変わっても、始業日の教室の賑やかさというのはきっと同じですね。 さて、新学期の校内に、以前と少し眺めが違う場所が生まれています。2年3組の向かいにある図書室の奥に、階段のように組まれた素敵なシートが生まれました。小さな劇場の観覧席のような感じですね。 シートの席を数えると全部で42席、小学生であれば一クラス分がゆったり座れるサイズですから、読み聞かせの会とかビブリオバトルを実施するにはまさに御誂え向きです。開智所沢小学校という小さなコミュニティの真ん中にある広場のような場所で、これから様々なアイディアが生まれ、多くの子どもたちの笑顔が集まる場所になってくれることを期待しています。 開智所沢小学校 片岡哲郎