新着情報 開智所沢小学校 > ブログ > Croquis No.21 ~東川のスケッチ 新着情報 新着一覧 在校生の様子 お知らせ イベント 入試情報 ブログ Croquis No.21 ~東川のスケッチ 2025.10.01 「…お昼がすぎると、ごんは、村の墓地へ行って、六地蔵さんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向こうには、お城の屋根がわらが光っています。墓地には、ひがん花が、赤いきれのようにさき続いていました。…(『ごんぎつね』 新美南吉 より)」 『ごんぎつね』の作者・新美南吉のふるさとである愛知県半田市では、毎年この時期になると矢勝川の堤を300万本の彼岸花が赤く染め上げます。そして、4年生の教室では今年も『ごんぎつね』の授業が始まっています。『ごんぎつね』は、第一次ベビーブームの子どもたちが小学校で学ぶ頃から、小学校の国語教科書に相次いで採用されました。ですから、今この時代を生きている人は誰もが、“赤いきれのように”咲き続く彼岸花の風景を、一度は心に思い描いたことがあるということになります。心が描き出した原風景、と言って良いかも知れません。 彼岸花は、見る人の心に一気に秋を呼び込みます。開智所沢小学校の通学路も、9月下旬にかけて東川沿いに彼岸花が咲き揃ったことで、朝の陽射しや吹く風の肌触りがすっかり変わりました。所沢市内を流れる東川は、狭山丘陵の北部を水源として西から東へ所沢市内中央部を流れ、所沢インターチェンジ付近で柳瀬川に注ぐ、全長12.6キロの一級河川です。コンクリートの高い護岸の底を流れているので、典型的な街なかの小河川に見えますが、春の桜吹雪はもちろんのこと、鴨の夫婦の睦まじい様子だとか優雅に飛び立つ白鷺の羽音だとか、冬の朝に薄く張る氷の輝きなど、どの季節もその川面はなかなかに表情豊かです。 9月17日、本校の2年生が、東川を愛する会の手島会長さんのご指導のもとで弘法橋付近の東川に入り、そこに住む水生生物を捕まえる体験をしました。 こちらは、学校の廊下に置かれた水槽を泳ぐオイカワの姿、私の地元ではもっぱらハヤと総称されていた川魚です。他にも、東川に住む様々な生き物たちがいくつかの水槽のなかでにぎやかに過ごしています。その日以来、登校途中に足を止めて東川の川面を見下ろしている子どもたちの姿が、少し増えたように思います。開智所沢では、所沢市以外の市区から通学する子どもたちも多いですが、児童期から青年期までの同じ時間をそこで過ごすうちに、 “ふるさと”の意識が生まれていくのでしょう。 東川付近に立って四方を眺めると、何本もの柿の木が目に入ります。「2025年の夏は、埼玉県内で観測された猛暑日の日数が6~8月に49日を数えるなど、過去10年間で“最も暑い夏”だった(読売新聞オンラインより)」…暑さの話題ばかりが取り沙汰された今年の夏ですが、枝先の柿の実が日に日に色づいてくる様子を見ると、それでも秋は巡ってくるのだと感じ入ってしまいます。 10月6日の月が、中秋の名月。そこから一ヶ月の間に、1年生・4年生・5年生・6年生の順で、それぞれのフィールドワークが予定されています。開智所沢の子どもたちの、“探究の秋”が始まろうとしています。 開智所沢小学校 片岡哲郎