個人探究

開智所沢小学校では、夏休みを活用し、自らの興味・関心を深く掘り下げる「個人探究」に取り組んでいます。探究のテーマに制限はなく、身のまわりの疑問、授業で関心を持ったこと、社会の出来事など、子どもたちが主体的に選び、学びを深め、広げていきます。

 

探究の過程では、自分が何を知りたいのかを整理し、調査、実験、インタビュー、観察、模型作成など、さまざまな手法を駆使して探究を進めます。単に情報を集めるだけでなく、自分なりの考えを深め、探究前と探究後で、自分の視点がどのように変わったのかを振り返ることも大切にしています。

 

休み明けには、個人探究の成果を発表する場を設け、クラスの仲間や異学年のペアの前で学びを発表します。他者の探究に触れることで、新たな視点を得たり、自分の学びをさらに発展させたりする機会となります。こうした経験を通じて、自ら問いを立て、主体的に学び続ける力を育んでいきます。

5年生のある児童は、「キャンプに行きたいが、クマの出没が怖くて家族で行けない」という実体験をもとに、「なぜ野生動物は人里に下りてくるのか」という疑問を探究しました。調査を進める中で、この児童は里山の管理を行う職員にインタビューを行いました。その結果、「かつて野生動物の数を抑えていたオオカミを人間が駆逐したことで、野生動物が増えすぎてしまった」という事実にたどり着きました。さらに、この児童は「野生動物が人里に下りてくる原因を作ったのは、実は人間自身ではないか」と考察しました。探究はそこで終わらず、「人間が作り出した問題ならば、人間が解決する方法を考えなければならない」とさらに発展し、里山の管理をより効果的に行うためのアイデアを考案しました。
個人探究では、子どもたちが自身の関心を深めていく過程で、時に高度なデータや専門的な知識に触れることもあります。しかし、自分なりの工夫を凝らして向き合うことで、問題解決能力が養われ、より深い理解へとつながります。この活動を通して、子どもたちは自分自身と社会のつながりを実感し、学びをより主体的に進めていく力を育んでいくのです。