新着情報 開智所沢小学校 > ブログ > Croquis No.22 ~秋のパレットの上で 新着情報 新着一覧 お知らせ 入試情報 ブログ Croquis No.22 ~秋のパレットの上で 2025.10.24 2025年は春も秋もぐずついた天候が続いて、麗らかな春の陽射しも、澄み切った秋の青空も、記憶のうちからこぼれ落ちてしまいそうですね。二十四節気を辿れば、10月8日が「寒露」、そして10月23日が「霜降」となっていますが、旧暦の頃のそんな言葉が、頼りなげな秋を追い立てるように、11月7日の立冬に向けて季節は一気に進んでいます。 小学生が毎朝歩いている通学路は今、ハナミズキの並木がすっかりワイン色に染まっています。 一般的な紅葉の色に、一滴のセンティメントを含ませたようなその色あいからは、しみじみとした余情が感じられます。晴れた朝であれば、駅前通りに差し込む陽光が透かし紅葉のような効果をもたらし、いつもの風景が思いがけぬほどの輝きを放つのですが、今朝は残念ながら曇り空。市民の方が舗道を掃く竹箒のリズミカルな音が、少し憂鬱な朝の気分を、端正に整えていきます。 通学路は最後に、ゆるやかな坂道にさしかかります。今の時期は、坂の下で信号待ちをしている人のだれもが、開智の子どもたちを迎えるように咲きほこる、見事なキンモクセイの木を見上げることになりましょう。 10月の初旬、キンモクセイの北側の枝にはもうびっしりとオレンジの花が咲き揃っていました。しかし、陽の当たる南側にはチラホラと咲いているだけ…もしやこの夏の猛暑がキンモクセイの開花に何かの影響を与えたのかと気をもんでおりました。実際、西日本では厳しい残暑が長引いた影響で、関東に比べて開花が遅れているそうです。そんな密かな心配をよそに、10月半ばを過ぎてからはご覧のように、木の全体に花が満ちてまいりました。その名の通り、金色に輝くキンモクセイの花は、実はとても小さい十字の形をしています。その花の無限の集まりが、九里先まで届くと言われる芳香を放つのです。香りの記憶というのは、どれほどの時間が経過しても色褪せることはありません。開智所沢小学校の子どもたちが大人になったのちも、思いがけずキンモクセイの香りを吸った時に、自身の小学校時代の楽しい記憶を思い起こしてくれることを、私は確信しています。 さて、最近校内を歩くと、ホームの教室に不思議な段ボールが置かれている風景を目にすることが多くなりました。どのホームも、一か月後に迫った開智所沢発表会に向けて、劇の練習がいよいよ佳境を迎えています。 こちらは、大きな魚でしょうね。一体どんなストーリーなのか、今から楽しみです。ホームは、1年生から6年生までの子どもたちで構成される、異学年学級です。発表会で演じる劇をつくり上げる過程で、上級生は下級生を常に気遣い、下級生は上級生に憧れながら、ホーム全体が、秋のパレットの上でその色を重ねるように、一体感を深めていきます。 そう言えば、あるホームに、6年生の作品でしょうか、こんな粘土の作品が置かれていました。 さまざまな生き物が、森のキノコ?の木陰のもとで、なにやらアセンブリをしています。今のホームの様子を表現しているようで、思わず見入ってしまいました。 開智所沢小学校 片岡哲郎