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Croquis No.19 ~ゴブリンたちの出番です。

 4年生・5年生を対象とした夏期講習も終了し、7月26日(土)から開智所沢小学校は本格的な夏休みに入りました。校舎一階の小学校エリアは、潮が引いた海のように、いまはひっそりと静まり返っています。いつもは子どもたちの相手で大忙しだったカブトムシやクワガタも、さぞホッとしているのではないでしょうか。

 子どもたちに遠慮せずにゆっくりと各教室を見て回るのも、実はこの時期の小さな愉しみです。6年生のクラス教室には、集中授業の成果でしょうか、多面体で構成された立派な塔が残されていました。すぐ横の壁にはメジャーリーグの中継で見るような「いままで算数の時間に解いた問題の数は850」というメーターが貼られています。学習することを全員で楽しんでいる、高学年らしい雰囲気ですね。

 こちらは、4年2組の教室です。窓辺では、見たこともないゴブリンたちが南の空をじっと見据えていました。夏休みは、彼らの出番です。これから一ヶ月のあいだ、目に見えない無数のゴブリンがきっとそれぞれの教室で、留守を預かってくれるはずです。

 一方で、異学年の子どもたちが過ごしているホームの教室には、これも6年生の作品でしょうか、下級生を楽しませるようにお手製の紙芝居が掲示されていました。なかには、思わずクスっと笑ってしまう表現もあります。普段はこの一枚の回りに、下級生の笑いの輪ができていることでしょう。

 さて、今日はこの場をお借りして、ある方にお礼を申し上げようと思います。それは7月16日の朝のことでした。私はいつものように、児童の登校を見守るために東川の橋のところに立っていました。学校を出る時は少し晴れ間も見えていたのですが、橋についてまもなく、雨が降り出してきたのです。「これはずぶ濡れになるな」と思ったまさにその時、少し離れたところに小さな車が停まって、中から傘を持ったご婦人が私のところに歩いて来られました。「毎朝、ご苦労様です。よろしければこれをお使い下さい。」そう言ってご婦人は一本のビニール傘を渡して下さいました。濡れずに済んだ喜びよりも、その方が毎朝、車の中から開智所沢の子どもたちの登校風景を見守って下さっているということを、私は心からうれしく思いました。いつになるかわかりませんが、いつでもお返しできるように、その傘は校長室のなかで大事に保管しておきます。ありがとうございました。

 この話は、17日の終業式で子どもたちにも紹介しました。「いつも見守って下さっている市民のみなさんのお気持ちにお応えできるように、例えば雨の日に通学路を並んで歩くのは最大2人までとして、歩道を傘でふさがないようにしようとか、そんな心掛けを自発的に行動に移せるようなみなさんであってください。」そんな言葉を添えました。

 

 開智所沢は、ジブリ作品『となりのトトロ』ゆかりの、所沢市“松郷”の地に建っています。だからでしょうか、人と人との心をつないでいくラッキーアイテムは、やっぱり“傘”なんですね。

 

                                        開智所沢小学校 片岡哲郎